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作者しかくの
掲載角川書店 ミステリーDX
連載期間1999年~2003年
単行本全4巻

爺さんと僕の事件帖 (3)爺さんと僕の事件帖 (4)



名探偵は爺さんと孫

生後まもなく両親と死別した中寺逸実は、現在お祖父さんと二人暮らし。
学校で事件が起こる度、なにかと巻き込まれてしまう逸実だが、
息詰まったときは祖父のアドバイスを受けながら、次々と事件を解決していく――!!


これが単行本第1巻の裏に書いてあるこの漫画のあらすじで、
全4巻の内容を的確に表しています。
少ない情報からすべてを見通し、必要最低限のアドバイスを送る祖父中寺逸樹と、
祖父に後押しされながら大人顔負けの推理で事件を解決していく主人公、中寺逸実。
実質二人の名探偵が、独特のコンビネーションで事件を解決することになります。


情緒的な作風で描かれる日常ミステリ

普通の小学生が主人公ということもあって、作品内で取り扱うのは
日常圏内に近い範囲でのミステリーです。
主人公の逸実と仲間達の少年探偵団的なノリで軽妙に描かれるこの日常ミステリーは、
年頃の子供には似つかわしくない大人びた思考と、
子供的な弱さ・強さの両方を併せ持つ逸実の目線によって
時にひどく情緒的に映し出されます。

掲載元である「ミステリーDX」は少女マンガ的な位置づけで、
この作品の絵柄にも女性的なエッセンスは入っていますが、
掲載が少年漫画でも特に遜色ない絵柄で、加えて漫画が上手です。
むしろ男性でも読みやすい絵に含まれる少女マンガ的な繊細部分が
随所に散りばめられ、この作品の漫画的な質を高めています。


爺さんの存在感

この作品で語るべきは、なんと言っても主人公の祖父、中寺逸樹。
「超人的に無口で無愛想」なこの祖父は、その人物紹介通り、
作中でほとんど喋ることもなく、
表情もあまり変化しません。おまけに推理漫画的なするどい洞察力をもっていても、
事件に対しては主に

1.単に面倒 2.バカバカしい 3.孫の身に危害が及ぶ
4.他人のプライバシー 5.事実を明らかにすることで状況を悪化させる

という理由で事件にも消極的なスタンスをとっています。
だからと言ってこの祖父の影が薄いかと言ったらそうではく、
その少ない言葉や立ち振る舞い、小さな表情の変化からは存在感があふれ出し、
一見無関心な主人公への「愛」も確実に感じ取ることができます。
「静」の祖父と、事件に首をつっこんでいく「動」の主人公、
この二人の名探偵の掛け合いは一見の価値アリです。


推理クイズとして

基本的に日常ミステリなので、密室やアリバイを解くとは勝手が違い、
また伏線をわかりやすくして解かせるようなタイプの漫画では
ないため、謎を解くのは難しいです。
それでも、ミステリーとしての中身は骨太で、提示される答えは決して
ルール外のところから出てくるものではなく、
きちんと納得できるものとなっています。
読み進めてく間に、だんだんこの作品にはどういう風に
伏線を貼ってどんな範囲から答えが飛び出してくるのかがわかってくると思います。
読み返してみると、大胆に伏線を貼っていたりすることも確認できます。
しかし悲しいかな、この作品は全4巻で、
作品を解くコツをつかめてきた頃には読み終わってしまうでしょう…

ということで爺さんと僕の事件帖は全4巻なんですが、
実は掲載元のゴタゴタで第5巻が立ち消えてしまったらしく、
この作品を読んで続きが読みたい!と思えた方は、

たのみこむ
「爺さんと僕の事件帖」5巻(しかくの)を発売して欲しい!
まで投票をお願いします。


最後に

推理漫画紹介の超安牌。
漫画好きには特にオススメです。


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